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2017年02月23日号

1;市況維持の意識強く~生コン

今年度の生コン出荷は前年比6・2%減の8168万9千m3と、2010年度(8527万8千m3)を下回り、過去最低となる公算だ。これまでは出荷が減ると市況も下落するというパターンを繰り返してきたが、今回はそういった市場はほとんど見当たらない。要因は一様ではないが、市況が上昇したことや10年度から行われた構造改革による集約化の効果などで、生コン工場の経営体力が向上した影響もありそうだ。また、生コン協組もこれまで以上に組織強化に注力しており、工場集約化への関与を通じて市況を維持・向上する方策を打ち出している。

生コン市況は11年度の出荷回復時から全国的に上昇している。建設物価3月号によると、全国47都道府県庁所在地の平均価格は、競争が最も激しかった震災前(11年3月)に比べ1764円上昇の1万2976円(18・18・20)となった。47都市のうち42都市で上昇した。また11年3月当時に1万円未満の都市は14あったが、現在は宇都宮、甲府、高知、福岡の4都市となっている。札幌、大分、熊本など表示価格が7000円を割り込んでいた陥没地区で協組再建が進み、市況も正常化している。

今年度の全国の1工場当たりの平均出荷量(全生連の今年度の需要見通しを昨年9月末時点の工場数から除して算出)は2万4097m3と、構造改革直前の09年度(2万3163m3)とほぼ同じ水準にまで落ち込むものの、合理化努力、市況が上昇した効果もあり、生コン工場の経営体力は震災前に比べ強化されていると思われる。

目先に大型物件が控えていることも大きい。東京オリンピック・パラリンピック、リニア中央新幹線、北海道、北陸、九州新幹線、高速道路の延伸も進められている。足元の出荷は厳しいが、需要が好転する見通しがあり、組合員の自制も働いている。特需のない地域でも物件があまりにも減少したため、脱退したとしても数量を確保するのは難しい。また、この数年で特に骨材やコンクリートミキサ車の傭車費が上昇し、稼働率を向上させただけでは、採算性が確保しづらくなっているという側面もある。

生コン協組は組織強化に本腰を入れている。員外社の加入促進に加えて、工場の集約化への関与も強めている。富山生コン協組は今年度、各組合員のシェアを複数工場でグループ化するJV方式を導入。近い将来グループ内での集約化を促す方策とした。全生連では、構改が終了した後も供給エリアの維持、工場の再配置を同時に進める「より高度な集約化」を推進している。協組主導でこれが実現すれば、市況の維持、上昇につながると期待される。