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2016年12月08日号

1;効率化技術を現場導入~ゼネコン

ゼネコンが建設現場の生産性向上技術を開発している。国土交通省が推進するi―Construction(アイコンストラクション)の方針に沿う形でコンクリート工事の機械化や生コンの製造・施工における情報の電子化など、建設労働人口の減少に対応した省人化と構造物の品質向上を両立する技術が相次いで実用化されている。

竹中工務店は11月28日、床工事におけるコンクリート打設作業に機械化施工技術を導入すると発表した。打設、均し、押えの各工程に作業を補助する専用機械を導入し、生産性と品質の向上を図った。

床へのコンクリート打設作業では、バックパック式エンジンバイブレータを導入した。従来のコンクリートバイブレータは操作者に加えて電源の配線をさばく作業員が2名必要だった。同社が導入したバイブレータは電源がバックパック式のため、操作者単独で作業ができ、作業員を省人化できる。

コンクリート均し作業には、床面のレベルを管理できるバイブレータブレードを導入した。欧米で使用されているスクリードという機械を改良し、レーザー測量器と連動して床面のレベルを自動制御する。経験のある熟練工でなくても高品質な床面の均しができることに加えて、中腰での作業を減らすことで作業員の身体的負担も低減する。

コンクリートの押え作業には、海外製の軽量騎乗式トロウェルを導入した。トロウェルは均したコンクリートを平滑にする機械で、従来の押え作業では作業員が手動式トロウェルを手で持って振り回しながらの操作で施工していた。導入した軽量騎乗式トロウェルは、作業員がトロウェルの上に直接乗って作業ができ、施工速度を格段に向上できるほか、体力的負担を必要とせずに施工できる。

大成建設は現場打ちコンクリート工事の情報管理・共有システム「T―CIM/Concrete」を開発し、施工現場への導入を始めた。生コンの製造から打設完了までの工程の各種情報を、電子化してインターネット上のWEBサーバに蓄積し、全ての関係者がリアルタイムで共有できるようにすることで、生産性と品質の向上の両立を実現した。

コンクリート工事の生産性向上については、材料面でのアプローチとして、高・中流動コンクリートの活用が検討されており、ゼネコン各社も土木のトンネル工事などで積極的に採用している。生コンJIS(A5308)では、普通強度領域へのスランプフロー管理の導入が検討されており、そのために必要な増粘剤一液型高性能AE減水剤を使用した高流動コンクリートの性能評価方法の開発も進んでいる。また、国土交通省のコンクリート生産性向上検討協議会では、土木構造物のスランプ規定の見直しを議論しており、さらなる採用の拡大が見込まれる。

今後、東京オリンピック関連施設や都心再開発が本格化する見込みで、現場作業員不足対策は待ったなしの状況にある。材料、施工の両面でコンクリート工事の生産性向上に関する技術開発が進みそうだ。