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2016年09月22日号

1;重交通道路にコンクリート舗装~国土交通省

「耐久性の高いコンクリート舗装を活用していく」――。国土交通省は13日に開いた社会資本整備審議会道路技術小委員会(三木千壽委員長=東京都市大学長)で、舗装点検要領(案)を提示した。この議論の中で大型車の交通量が多い高速道路や直轄国道などの重交通道路でコンクリート舗装を積極的に採用する方針を示した。要領案ではコンクリートとアスファルトの舗装別に点検方法を規定する。

舗装に関する点検方法を定めた規則は2013年、中央道笹子トンネルの事故を受けて策定された「総点検実施要領(舗装編)」しかなかった。これは舗装における現状の管理状況の把握を目的としたものであり、同省では今年度に正式な点検要領を制定することを目指している。今回示された要領案では舗装のメンテナンスサイクル構築を目指して長寿命化、ライフサイクルコスト(LCC)の削減を主眼に置いた。地方自治体などの全ての道路管理者に重交通道路では5年に一度の定期点検を求めたほか、舗装の維持補修に関する新技術を積極的に採用していく方針を掲げた。

同要領を審議する中で、大型車が1日当たり1000台以上通行する道路では、アスファルト舗装は損傷が早く進行するデータが示された。これを受け、大型車の交通量が多い高規格幹線道路や直轄国道ではコンクリート舗装を積極的に採用して、舗装の長寿命化、LCCを削減する方針を示した。コンポジット舗装は、コンクリートが持つ構造的な耐久性に加え、アスファルトの持つ良好な走行性と補修の容易さを併せ持つと紹介。舗装を長寿命化するには、舗装下部の路盤の強度と耐久性がカギになるとし、セメント安定処理などの強化策を積極的に行うよう提言した。

点検要領ではアスファルトとコンクリートの舗装種別ごとに点検方法を記載した。その理由について、同省は「コンクリート舗装が今後増えていくと見込んだため」としている。点検要領では健全度を3段階(Ⅰ健全、Ⅱ補修段階、Ⅲ修繕段階)で診断する。その結果に応じて、必要な措置を実施し、これを記録する。同省ではこれらを定期的に実施することで、舗装分野でも橋梁やトンネルなどで行っているメンテナンスサイクルを舗装分野にも広げる方針だ。