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2016年07月28日号

1:関東一区で生コン値上げ機運高まる

関東一区で生コンの値上げ機運が高まっている。すでに神奈川生コンクリート協同組合、湘南生コンクリート協同組合、秩父地区生コンクリート協同組合が今秋に販売価格引き上げを表明している。コストの先高観が理由の1つ。一方、生コンの出荷は関東一区全域で不振だ。出荷割合の高いマンション建設が盛り上がりを欠いた状態が続く。着工遅れや工期の長期化も下押し要因とされる。地区最大の東京地区生コンクリート協同組合は今年度の出荷が300万㎥を割り込む可能性が出てきた。

出荷不振 東京は最低更新も

関東一区で各協組が一斉値上げに動いたのは2014年度が最後。その後、コストアップ圧力が弱まったこともあり、昨年度は値上げに取り組んだ協組は限定的だった。
ここへきて値上げの動きが再び面的に広がりつつある。来年以降、東京オリンピック・パラリンピックなど大型工事が相次いで本格化してくると、原材料の値上げや生コン運搬費の上昇でコストが膨らむ可能性があるため。設備更新など安定供給や事業継続に欠かせない再投資費用を確保したい意向もある。
秩父協組は9月1日以降の引合分から1000円値上げする。輸送コストの上昇などが理由で、建値も1万4000円から1万5000円(18・8・25)に改定する。神奈川協組はコストに見合った価格の確保を理由に、10月1日以降の引合分から希望販売価格を1万3000円以上(18・18・20)と500円引き上げる。協力金を除いた実質の仕切価格は1万1500円以上となる。
神奈川協組に隣接する湘南協組も追随し、11月1日以降の引合分から500円上げる。建値は1万4000円(同)で据え置き、手取りを上げることに注力する。
埼玉中央生コン協同組合と埼玉県北部生コンクリート協同組合は今秋にも値上げを打ち出したい意向だ。玉川生コンクリート協同組合も値上げを視野に入れている。
各協組がコスト動向にも増して先行きを注視しているのが需要だ。14年度から減少に転じ、昨年度の関東一区の出荷(非組合員推定含む)は前年比6・7%減の2047万㎥と09~10年度規模に逆戻りした。
今年度に入っても減少基調は止まらず、1都3県の主要10協組の4~6月出荷は前年同期に比べ17・5%減の250万㎥だった。湘南を除いた9協組が前年割れ。一部の協組で底打ちの兆しも出てきているが、各協組は一様に「想定以上に厳しい」としている。
中でも、東京協組は67万5千㎥と26・8%も減った。大型工事か目白押しだが、実需化が遅れており、少なくとも上期いっぱいは不振が続きそう。昨年度は1・7%増の325万㎥だった。下期での挽回は難しくなりつつあることから、通期では300万㎥弱にとどまり、過去最低を更新するとの観測もある。